イベント|20221130 シミズ・オープン・アカデミー@清水建設技術研究所
日時: 2022年11月30日(水)14:30~16:30
場所: 清水建設技術研究所(江東区越中島3-4-17)
参加者:
小林正人、宇佐美孝典、佐藤啓太、新田哲史、細田陽斗、石原大暉、江原 諒、金子 奨、
伊與部弘一、千田悠人、曽根克彦、古澤海斗、舩田恭佑
上記のウェブサイトなどをみて、質問を考えて以下に書き込んでください。また、当日の質疑応答の結果を後日ここに書き込んでください。許可が出れば撮影した写真等もここに乗せてください。見学の様子を収めたものや集合写真などもお願いします。
https://scrapbox.io/files/638ac35a69fb4b001d23b477.jpg
https://scrapbox.io/files/63876693cf86d0001df22e1c.jpg
E-Beetleではこれまでに最大でどの程度の規模の実験が行われていたのでしょうか。(新田)
→RC構造だと2~3層程度、高さ7~8m程度の実験を行ったことはあります。実験棟はクレーンがあるため天井高さはかなり確保されていますが、試験体が大きすぎると制御が難しいためある程度の高さに抑えています。
新しい研究の内容はどのように生まれるのでしょうか。また、近年の研究では何が重要視されていますか。(佐藤)
→研究の始まりは国からの支援があるものやインフラであれば受託研究など様々である。新しい技術開発は、必要とされる技術を提供できるようにすることを念頭に置いて行われている。
風洞実験に使用する模型は木製のものが多い印象を受けますが、模型の素材は何か規定があるのでしょうか。(宇佐美)
→特に模型の素材に関する規定はなく、表面が滑らかで風の流れを乱さないものやたわんだり変形しないものであれば問題ありません。
歴史的建造物の改修に、直接的に技術研究所が携わることはあるのでしょうか。(石原)
→例えば、浅草寺をチタン屋根へ改修する際、屋根重量が1/5になる影響を風洞実験により確認しました。
建築のトレンドとして建物が安全というだけでなく利用者にとっての安心も重要な要素になっていると印象を受けたのですが、安心という評価についてなにか指標のようなものはあるのでしょうか。(伊與部)
→安心というものは個人による差があり明確な指標というものはないが、生体反応を計測したり振動体験をした職員にアンケートを取ったりと安心についての検討も行なっている。また、災害時にアナウンスを流すなど不安を感じさせない手法も行なっている。
行われている実験に関して、どの程度の人数が取り組まれているのでしょうか。(千田)
→実験の規模にもよるが、実験の計画者、実験場に駐在する作業員、機器のオペレーター等から構成され実験が行われています。
建設ロボットの稼働率はどの程度でしょうか。また、将来現場での作業が全て建設ロボットになることはあるでしょうか。ロボットには出来なく、人にでしか出来ないことはありますか。(舩田)
→同じような作業を繰り返す際にロボットやAIは役立つ物だと考えられる。新しい物事を考え、実施することは人間にしかできない物だと考えられる。
ロボットを活用した建物サービスは、現状どのような施設で多く活用されているのでしょうか。また、配送や案内サービスロボットに加え、今後計画されているサービスロボットはありますか。(金子)
風洞実験棟におけるパーシャルフロート免震構造はどのような過程を経て実現されたのでしょうか。(江原)
→解析等で実現された。スロッシングを考慮し緩衝材や波を抑える網などが設置されている。
現在はロボットや3Dプリントを駆使した技術開発が盛んに行われていると感じました。今後の技術開発はどのような分野に力を入れていくのでしょうか。(細田)
→労務管理が課題として挙げられることから、施工効率改善のためにデジタル技術の研究が盛んに行われると考えられる。
建設ロボットのような新技術はコスト面などにより導入されにくく、建設現場での実証がなかなかされず、普及しにくいイメージがありますが、新技術の発信や普及を目的に技術者として何か意識的に行なっていることはあるのでしょうか。(曽根)
先端地震防災研究棟や風洞棟など様々な実験棟がありますが、年間で実験はどのくらい行われているのでしょうか。(古澤)
→一つの研究の実験に一か月ほどの期間を要することが多く、また年末年始にかけてはメンテナンスに一か月ほどを費やす。振動台など、研究の兼ね合いによっては外部の実験装置を借用することがある。
【追加回答】
清水建設の神原です。
本日はありがとうございました。
回答できなかった質問について確認しましたので,説明させていただきます。
(1) 本館(1階柱頭免震)の免震装置のサイズ(見学中の質問)
φ800くらいと回答しましたが実際はφ1000,φ1100でした(文献1参照)。
(2) パーシャルフロートの免震装置の種類(見学中の質問)
高減衰ゴムを使用しています(文献2参照)。解析では流体力を考慮しているようですが,レベル2地震に対するせん断ひずみが200%なので,天然ゴムでは目標性能を満足できなかったのかもしれません。
(3) 模型実験と実際の建物との違い
風洞実験の模型と実際の建物ではレイノルズ数が3オーダー程度異なるため,実験ではその差を考慮する必要があるそうです。ただし,流れの剥離(渦)が生じる場所がレイノルズ数によって変わってくるそうですが,形状が矩形の建物では,剥離はその角で生じるので,レイノルズ数が違っても結果の差は小さいそうです。角が少なく曲面が多い形状の建物ではレイノルズ数の影響が大きくなるため,注意する必要があるようです。水の場合は,空気よりレイノルズ数の差が小さく,模型と実際の差は小さいそうです。
プールの模型実験の際に参考にした文献を添付します(1ページ目2.1節の最後に「構造物に作用する波力に関する実験の場合,粘性力よりも重力が卓越する」と説明されています)。
よろしくお願いいたします。
【追加回答】に対する返信
清水建設 神原様
明治大学の小林です。度々申し訳ございません。
一昨日ご送付いただきましたコメントや資料に対する学生等からの反応をお伝えしたくメールいたしました。
以下の通りとなります。ご丁寧に対応いただきましてまことにありがとうございました。
今度ともどうぞよろしくお願い致します。
(1) 本館(1階柱頭免震)の免震装置のサイズ(見学中の質問)
明治大学修士2年の新田です。
先日は研究所をご案内いただきありがとうございました。また、本館柱頭免震の免震装置のサイズについてご回答いただき、ありがとうございます。
日頃の研究では簡略化したモデルを用いて解析を行っているため、実際の免震装置のサイズ感をはっきりと理解しておらず、さらに6基のみで支えている本館の構造ではどの程度のサイズとなるのかが気になり、見学中に質問をいたしました。
送付していただいた文献にて、免震装置の規格や設計の詳細、さらに耐火についての記述を拝見し、自身が訪れた建物がどのような思想で設計されたのかを読み取ることができました。免震装置のサイズだけでなく、さらに広い知見を得られたように思います。
お忙しい中丁寧にご対応いただき、誠にありがとうございました。
(2) パーシャルフロートの免震装置の種類(見学中の質問)
明治大学の小林です。
高減衰ゴムを使用していること、透水体にも相当の減衰効果を期待していることがよくわかりました。
研究室で免震構造と津波の関係について研究しています。
免震層に浸水が生じた場合の挙動に関心があり、学生からも質問させていただいたという次第です。
積層ゴムに耐水性があることは文献などで把握しておりましたが、
それでも浸漬試験や長期の耐久性評価のデータは大変貴重であると思いました。
(3) 模型実験と実際の建物との違い
明治大学修士2年の宇佐美です。
風洞実験および水理実験における相似則の影響について、ご回答いただきありがとうございます。
質問をさせていただいた背景として、私も縮小模型を用いた水理実験を行っており、実験結果に対する相似則の影響について考える機会があったからです。
水理模型実験に関してはご提示して頂いた下迫先生の論文を読んだことがあったのですが、風洞実験における相似則の影響については知識が乏しかったため、今回丁寧にご回答して頂けたことで知見が深まりました。
お忙しい中、専門外の分野に関する質問にも丁寧にお答えいただきありがとうございました。
清水建設の神原です。
ご丁寧にご報告ありがとうございます。
昨日は非常にたくさんの質問をしていただきありがとうございました。また,質問の内容も本質的なところを突いていて,こちらの方が大変勉強になりました。今後ともよろしくお願いいたします。